新型コロナウイルスの影響により業績が傾いている企業は多く、工務店も例外ではありません。
自転車操業をしている工務店であれば今回の世界的感染症により倒産してしまうケースも多々出てくるかと思います。そのようなリスクに対して施主の防御策として住宅完成保証制度というものがあり、第三者機関が提供しています。
工務店の健全性
設計事務所でせっかく素晴らしいプランを練って貰っても、建築自体は工務店が行うのは周知の事実です。
その工務店が不況のために倒産してしまったら夢のマイホームどころではありませんよね。支払った前払金はどうなるの?今後の建築はどうなるの?と不安が出てきます。
しかし建ててもらう工務店の財務状況が万全なのか素人に判断するのは大変難しいです。東京都であれば都庁の建設局にある建設業許可申請書を見に行けば直近の工事請負状況や財務諸表が見られますので参考資料にはなります。
ですが、あくまで自分で工務店が良好な経営状況なのかを判断する指標なだけで倒産するか否かは判断できませんし、倒産した後のフォローは自分でしなければなりません。
その時に役立つのが第三者機構が行っている住宅完成保証制度になります。
住宅完成保証制度の概要
この制度は建築中の工務店が倒産してしまった場合の損失を保証してくれる制度で建設業者向けのサービスになります。
施主が支払っている前払金の損失・引継ぎ後の増嵩工事費用の金額を保証してくれるもので、建設業者にメリットがあるのか?と思うかもしれません。
住宅完成保証制度に入るためには財務状況が良好であることが求められ、厳格な審査が行われます。そのため健全性がアピールできるため安心して住宅を建てられる工務店である。という指針になり信頼性が飛躍的に上昇することから営業活動が有利に働きます。
特に今回の新型コロナウイルスの影響によって絶大な信用力が得られることは間違いないでしょう。
逆にこの制度に入れないということは、工務店としての規模が小さく経営状況も不安定なため倒産リスクが高めな証拠とも言えます。
住宅完成保証制度の内容
住宅完成保証制度の内容としましては、前述した通り前払金や増嵩工事費用です。
例えば工務店と3,000万円の請負契約を結んだとして前払金として1,000万円を支払ったとします。
工事に着手後、800万円分まで工事完了した後に工務店が倒産した場合、200万円は戻ってこず宙に浮きますが、その分を保証してくれます。
更にお家の工事は続けなければなりませんが、次の工務店を探すのは一苦労です。引継ぎもありますし、素人には到底出来る作業ではありませんので、その作業を担ってくれます。
また、引継ぎの際に残りの工事代金は2,000万円分になりますが、工事のやり方も違いますし、調整費・人件費が当然かかってきます。そのため2,000万円+αの支払いが必要となりますが、その金額も保証してくれます。
保証会社により異なりますが、上限額は請負金額の各々20%と定められています。
上記の例で保証に入っていなければ下表の金額が総支払額になります。
項目 | 金額 |
---|---|
前払金 | 1,000万円 |
未工事 | 200万円 |
中間以降 | 2,000万円 |
増嵩工事 | 600万円 |
3,000万円を予定していたのが3,800万円の26%UPになるリスクが生じます。
もしも住宅完成保証制度に加入していれば、800万円が保証されるので支払総額は変わらず3,000万円で、継続して工事してくれる工務店まで見つけてくれます。
これは施主にとって非常にありがたく必須な制度ですが、大きく浸透しているとは言えません。
加入条件
加入するには3年間の財務諸表を提出して、倒産のリスクが低い健全な運営を行っていることが必須です。
更に毎年経営状況をチェックされる更新制度も取り入れています。
簡単に倒産されてしまっては保証会社がその分を肩代わりしなければならないので、しっかりとチェック体制が機能しています。
そのため、住宅完成保証制度に加入できていれば素人にも安全な工務店であることが認識できます。
また、無料で入れるわけではなく建設会社の負担で1棟につき10万円の費用が生じます。
これが意外と重荷になっているのか、払えるほどの体力がないのか、加入していないケースも見受けられます。払う体力がない場合はそもそも審査に通りませんけどね。
工務店の見つけ方
それでは、住宅完成保証制度に加入できている工務店を見つける方法は?と言いますと
まずこの保証をしている会社が複数あります。
①住宅保証機構株式会社 事業者検索サイトから検索できます。
②株式会社住宅あんしん保証 全国の届出・登録事業者検索から検索できます。
調べてみると分かるかと思いますが、登録している工務店の数は少ないです。
中小企業のみが加入できる制度なので大手ハウスメーカーは掲載されていません。保証制度がなくとも安全に建てられる体力・保証が厚いのが大手メーカーの利点ですからね。
登録数が少ないので健全な工務店探しにも使えますし、掲載されている工務店のホームページを見るとしっかりとした建設事例も掲載されていますので参考指標に使われるのもオススメできます。
リスク低減
住宅を建てるのは非常に大きな金額が動きます。
これから建築予定の注文住宅は3,000万円を予算にしていますので、万が一の時に最大で1,200万円の保証が受けられます。
工務店は出来高払いが原則なのでMAXの保証が受けられるケースはほぼないと思います。前払金が最大になるケースは、工務店から前払金を多く払ってくれたら融通を利かせられる。というケースでしょうか。
そもそも前払金を多く請求しようとする場合は資金繰りが悪化している状況が多いため、契約自体を考え直した方が良いかと思います。
そしてそういうことをお願いしてくる工務店では住宅完成保証制度に加入できないでしょうし、仮に出来ていたとしても保証があるから大丈夫!と過信しすぎるのも禁物です。
住宅は建てたら終わりではなく、修繕等も何年・何十年とあるわけですから末永くお付き合いできる関係を築ける工務店を選ぶのが最優先ですからね。
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