設計事務所のみならず注文住宅を建てる際の住宅ローンでは、つなぎ融資・分割融資が必要不可欠になってきます。
住宅ローンの融資が実行されるまでに、数多くの決済が待ち構えています。大体のスケジュールと融資方法の違いをご説明します。
住宅ローン融資までの壁
住宅ローンが実行されるのは「住宅の引き渡し」のタイミングです。
しかし、土地の購入から建築費まで支払いをしなければならないタイミングが多くあり、設計事務所に頼もうとすると更に複雑化します。
支払いのタイミングは大体、以下の通りになります。
No | 内容 |
---|---|
1 | 土地の頭金・仲介手数料 |
2 | 土地の本決済 |
3 | 登記費用・保証料・司法書士への報酬 |
4 | 設計事務所の設計監理料1回目(契約金) |
5 | 設計監理2回目(基本設計) |
6 | 建物の着工・設計監理3回目(実施設計) |
7 | 建物の上棟(中間) |
8 | 建物の竣工(完成)・設計監理4回目(監理業務) |
大きく分けて支払回数は8回になりますが、細かく見ていくと10回以上は支払う必要が出てきます。
全ての回数を銀行から融資してもらえませんので、必然的に大きい金額のタイミングで融資をしてもらうことになります。
上表で考えますと、土地の本決済・着工・上棟・竣工の4回になります。
1回目である土地の本決済の前に頭金を支払っているケースが多いと思います。
5,000万円の土地に頭金500万円を入れたと仮定しましょう。
土地の本決済時は残金の4,500万円を支払いますが、銀行からは5,000万円が融資されます。差額の500万円を元手に登記費用・保証料等の支払いが行えるので、資金がショートすることは基本的にありません。
2回目以降の支払いとなる工務店の場合は、建物代金を分割して、30%・30%・40%のように支払っていきます。
ただ、4回もの融資に対応できる金融機関なのか相談してみないと分かりません。
もしくは工務店に支払回数を3回ではなく2回で交渉をしてみるのも手です。
なお、建物の着工時に融資を受ける場合は、設計事務所へ支払っている設計監理料の1~3回分の金額も融資して貰えます。
基本的には設計監理料も住宅ローンに含まれますが、稀に不可な銀行もございますので、よく確認しておいてください。
つなぎ融資
それではつなぎ融資の説明に入ります。
つなぎ融資とは、住宅ローンが実行される前に別途の融資契約を締結して、資金サポートをしてもらう方法です。
土地の購入にあたっては土地先行融資という名称が用いられることもあります。
住宅ローンとは別契約になりますので、印紙代・手数料等が追加でかかり出費が嵩みます。そして何よりの大きなデメリットは金利です。
住宅ローンの金利であれば0.5%前後と非常に低い金利になっていますが、つなぎ融資の場合は約3%です。
融資期間が長くなればなるほど利子の負担が大きくなってきます。
例えば、借入期間を1年で5,000万円を融資して貰うケースを考えてみますと
金利 | 利子(年) |
---|---|
0.5% | 25万円 |
3% | 150万円 |
これほどの利子の差がございます。
一時的に必要になる大きなお金とはいえ、利子3%の負担は非常に大きいですよね。
両親や親戚に一時的に資金を工面して貰ったりする方も多いですが、皆が皆サポートを受けられる訳ではありませんので、つなぎ融資を選択せざるを得ないケースも多いかと思います。
設計事務所の場合は住宅完成までに1年間かかることは普通なので、つなぎ融資の利子は非常に重くのしかかります。
そもそもつなぎ融資に対応していない金融機関も多い中、こういう制度があること自体はありがたいですけどね。
なお、メガバンクである三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそなはつなぎ融資に対応しています。プロパーローンと言う方もいらっしゃいます。
分割融資
それでは、分割融資とはどういった仕組みでしょうか。
融資を複数に分けてもらうことはつなぎ融資と同じになります。
一番大きな違いは、土地と建物の融資契約が一本で済ませられることです。
本来であれば建物が出来上がってから抵当権を設定するのですが、このぐらいの建物が建つであろうという予測の上、土地+建物の総金額の抵当権を設定します。
なので、どのくらいの価値がある建物なのかを事前に提示する必要があります。
ただし、建物は住宅ローンの審査を経てから着工するまでに金額の変動は大いにあり、銀行も承知の上です。極端に下がらなければ問題は特にありません。逆に上昇した場合の追加融資は厳しいので自己資金でカバーする必要がありますので、予算コントロールはしっかりと行い、どこまで借りるのかを決めておきましょう。
分割融資は契約が一本となるわけですからメリットが盛りだくさんです。
No | 利点 |
---|---|
1 | 印紙代・手数料代などが1回分で済む |
2 | 金利は住宅ローン金利と一緒 |
3 | 分割中は利子の支払いのみ |
最後の分割中の利子の支払いのみはつなぎ融資でも一緒で、住宅ローンが始まるまでは元本返済はなく、利子のみの支払です。最大のメリットは金利で住宅ローン金利の0.5%前後が適用されます。
分割融資のデメリットを申し上げますと、取扱銀行が少ないことです。
そもそも土地の上に建物がないのに、一括して抵当権を設定できる金融機関が稀です。
つなぎ融資に対応しているメガバンクは一般的にルールが細かく、厳しくあるため、この方法は中々取れません。
こればかりはご自身で対応可能な金融機関を探すしかありませんが、神奈川県・東京都の方であれば、横浜銀行が分割融資に対応しています。
地銀・都市銀・信用金庫など、地域密着している金融機関はこういった融通が利くことが多いのでご相談してみることをオススメしますよ。
ただ、横浜銀行は人物に対しての評価に重きを置く特徴があります。
東証一部上場企業や公務員の方は非常に有利ですので、一度検討されてみることをオススメします。
もちろん、他の地方銀行でも似たような取扱があると思いますので、銀行の選定はじっくりと行いましょう。
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