家を建てようと考えたとき、選択肢の多さに気づきます。
中古住宅から新築まで、更にローコスト住宅・ハウスメーカー・設計事務所と多岐に渡ります。
その中でも建築家の個人設計事務所にお家を建てる契約を結んできました。
私の家づくりの経過が皆さんのお役にたてることを祈って...
家を購入する選択肢の数々
念願のマイホームを手に入れる方法は多岐に渡ります。
大きく分けますと、建売住宅・ハウスメーカー・設計事務所の3点にになります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを順に説明していきます。
建売住宅
不動産開発業者(ディベロッパー)が提供しています。
大手では「三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産」が挙げられるでしょう。
建売住宅といっても1,000万円台でも建てられるローコスト住宅やデザイン・機能性を向上させたミドル・ハイコスト住宅もあります。
更に戸建ではなく、利便性に富んだマンション住戸の人気も非常に高いお家です。
これらの住宅は、各社の標準規格内で大量生産されたものになりますので、どうしても間取りや機能の制限が出てきてしまいます。
雑な言い方をしてしまうと工場で作られたパーツを現地で組み立てる方式です。
その土地に合った、光の入り方。風の抜け方。景観の見せ方。の全ては考慮できません。
更にトイレはTOTOが好き。キッチンはLIXILで、床暖房はガス式にしたい!といった要望も叶え辛くなってしまう欠点があります。
先にも申し上げましたが、多くの会社は大量発注してコストを下げていますのでイレギュラーな注文を入れてしまうと調整に費用が掛かりコストが高くなるのは仕方がないことです。
ここを妥協できれば、安価に細かいことを考える時間もかからず、念願のマイホームが手に入ります。平均的な入居までは約1ヶ月前後です。
また、建物が出来上がり販売価格が確定していることから住宅ローンも一番組みやすい形です。
ハウスメーカー
こだわりの住宅を求めるのであれば注文住宅の選択肢が出てきます。
大きな分岐点は土地の有無です。
親から譲渡された土地がある、もしくは建て直すといった方であれば問題ありませんが
土地探しからスタートする場合は長い年月がかかります。
ちなみに私は土地探しに約10ヶ月かかりました・・・笑
ハウスメーカー(以下HM)の中でもローコスト・ハイコストの会社に分かれます。
住友不動産・タマホームが坪単価を抑えたローコストのプランを提供しています。
逆にこだわり抜いたメーカーとしては、へーベルハウスや住友林業です。
特に住友林業は自由度の高い設計が強みで、様々な要望を叶えてくれます。木材に一番力を入れている企業といっても過言ではなく独自の構法も確立し余裕のある家庭に好まれています。
へーベルハウスもCMでお馴染みですね。ALCといい分厚いコンクリートを外壁に使用するのが特徴の一つです。
各社でそれぞれの特色がありますし、何よりネームバリューが大きいです。
住友林業のお家に住んでいる、というだけで箔がつくのも確かです。
設備面(オプション)でも提携しているメーカーの幅が広がりますので、好みに合った選択肢が格段に増えます。
しかし、提携がキーになってきます。全てのメーカーの商品が入れられる訳ではなく提携先が主になります。
例えば標準システムキッチンの標準プランがLIXILとしましょう。
クリナップやタカラスタンダードの変更は出来ますが、TOTOの場合は+10万円かかる。といった事象が出てきます。
海外製のシステムキッチンを入れたい、と言った場合は提携外としてかなりの費用が嵩んでしまうケースも多々あるので注意が必要です。
建売住宅と比べると自由度・選択肢の多さは格段に増えますが、あくまで注文住宅としての標準規格内の幅が広くなっているに過ぎません。
このようにオプションの希望を叶える度に建築費用がどんどん上がっていきます。
建築家
それでは、建築家が建てる家はどうなるかと言うと標準規格は存在するものの、原則フルオーダーメイドです。
更に一般人の方との接点は皆無と言っても過言ではありません。
建売住宅やHMであれば、宣伝広告費にお金をかけていますので知名度は高く、多くの方が知っているでしょう。しかし、建築家の人はCM等の広告費をかけません。
正しくはかけられないと言うべきかもしれません。
例えば個人の建築設計事務所であれば、数名で営業していることが多いので広告費をかけても受注できる数は限られてしまいます。組織化された建築家の企業でも年間に建てる棟を制限している会社もあるほどです。
広告費にお金をかけた場合、必然的に建築費に上乗せされますので、受注は増えたが、その分チープなお家しか建てられない。となったら本末転倒もいいところです。それならば広告費分を建築費に回してもらった方が、建築家も満足し、施主も多くの希望が叶うというものです。
さて、広告費をかけない理由は上述した通りですが、一般人からするとどう調べればいいの?となりますよね。
そこで出てくるのが作品集です。
建築家とマッチング
気になる建築家がいれば、そのホームページで作品を見て、惹かれるデザインを探します。
著名な建築家であれば安藤忠雄や隈研吾が真っ先に挙げられますが、個人住宅で求める層ではありませんよね。建築家も多くの方が活動していますが、調べるためにマッチングサイトがあります。
代表的なサイトを3つほど以下に掲載いたします。
そこで将来建ててみたい自分なりの空間を検索してみてください。
1.吹き抜けのある家
2.狭小住宅
3.中庭
などのようにお好きなワードで検索をかけ、「わっ!素敵なお家!」と思ったら、その建築家の方の作品をたくさん見ましょう。
そうすることによって、この人だったら難しい条件の土地・予算でも、工夫して希望のお家を建ててくれそう・・・!感じると思います。
HMは消費者にアピールしてきますが、建築家を求める場合、こちらから探しに行く必要があります。
O-uccino(オウチーノ)
SuMiKa(スミカ)
homify(ホーミファイ)
桁外れの提案力
大手HMに何度も足を運び、色々と相談させていただきました。契約を締結するまでは費用が掛からず、無償で対応してくれました。
高価格帯のHMでも自由度は高いと言えど、あくまで会社の標準規格内の枠からは逸脱できない限界を感じました。打ち合わせを重ねる度にヒシヒシと強くなりました。
【HM】
Q:もう少し収納スペースを確保できませんか?
A:それではこの室内の広さを少し狭めて、パントリーを作りましょう。
Q:自然光を取り入れて明るいリビングにできませんか?
A:壁・柱の位置が移動できないので窓を変えるのは厳しいですね・・・
【建築家】
Q:もう少し収納スペースを確保できませんか?
A:それでは部分的に床を掘り下げ、3畳分ぐらい空間を上部に作りましょうか。
Q:自然光を取り入れて明るいリビングにできませんか?
A:天井の一部分を切り取り吹き抜けにしてみましょう。
正直言って、建築家の方の提案力は桁違いで、空間把握能力がズバ抜けています。
え?その壁って移動しても大丈夫なの?
え?そこに新たな空間が作れるの?
え?空間の抜け感でそこまで変わるの?
そして何より、印象的なキーワードが一つあります。
愉しい空間を作りましょう。
建築家の方と話しているとこのキーワードがふっと出てきます。
建売住宅の販売図面を見て感じることは機能面が多いのではないでしょうか?
部屋はいくつあるのかな?
キッチンに食洗機はついているかな?
リビングに床暖房が付いているかな?
HMでの打合せでも、機能面のお話は大きな割合を占めませんか?
大きなサッシを取りつけましょう。
高気密・高断熱で温度差をなくしましょう。
全館空調で花粉症対策、天候に左右されない室内干しはいかがでしょう。
確かに住むための快適性はとても大切です。
太陽光発電を取り入れて、光熱費を抑えることも経済面では重要です。
でも家族の中にもそれぞれ個人の考えがあります。全員がが気持ちよく過ごせる愉しい空間を真っ先に考えて、どんな生活を送るのを希望しているのか、そういうところを最重要視してくれる建築家の考え方に惹かれました。
そして、数ある建築家の中から一つ、個人経営されているアトリエ建築設計事務所の門戸を叩き、家づくりを歩みだしました。
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