僕のおうち工房

設計事務所による注文住宅や、おうちのインテリア、メンテナンスなどを発信していきます。

注文住宅の土地探し 苦悩の日々

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注文住宅 土地探し

お家を建てよう。と考えた時に、まず二つの道に分かれます。

それは土地を持っているか、持っていないか。

親族の土地に家を建てる場合・分筆・相続の場合は建物だけを考えれば良いですし、金銭面もゆとりが持てます。

しかし、希望エリアでなければ土地探しからスタートを始めなければなりません。

限りある予算

ほとんどの方が予算との戦いになります。

自己資金がいくら用意できるのか、住宅ローンをいくらまで借りるのか。

資金シミュレーションを経て、土地にいくら予算を割くのか、建物はどの程度のクオリティを求めるのか、を考えていく必要があります。

建売の場合は総支払金額が明確になされているため資金計画も立てやすいですが土地からの注文住宅となると先を見据えるのが中々難しい場面もありますので念入りに資金計画は立てた方が良いと思います。

 

東京都23区の坪単価

当初は東京都23区に家を買う予定は全くありませんでした。

妻の実家が都内で、共働きのため子育て支援も得られるかもしれない...という思いで都内の土地を探し出しましたが・・・・・・!

 

坪単価が高すぎる・・・!!

 

各エリアの坪単価

渋谷エリア周辺を見てみると、最低でも350万円~400万円以上から

少し離れたところの世田谷区三軒茶屋エリアだと300万円以上から

目黒区エリアも同様に300万円以上がベースです。

世田谷区は範囲が広いので一番人気の下北沢・太子堂・三軒茶屋は非常に人気の高いエリアですが、喜多見・北烏山・祖師ヶ谷大蔵の郊外エリアは半額程度の150万円前後が土地価格の相場です。

ここらへんであれば手が出しやすいのですが、ちょっと西側になってしまいます。

世田谷区 地価エリア

 

小田急鉄道が優秀すぎるので、新宿までのアクセスはさほど変わりませんが渋谷に行くには少し時間がかかってしまいます。

 

住生活の快適度

飲食店の豊富さ・教育カリキュラム・治安の良さ・なども坪単価には影響しますが三軒茶屋と喜多見・北烏山の東西のどちらかを選択するかは、それぞれの事情によることでしょう。

方働きでしたら広い土地の西側は良い選択肢です。自動車通勤も視野に入れられますし、建物にもお金を多くかけられるのでより充実した新居が望めます。

共働きでしたら、狭くても通勤時間を短くするために都心よりを選ぶのは良いでしょうし、自動車を持たずカーシェアリングという選択肢もあります。

 

何を求めるのか

差が分かりやすい世田谷区で考察してみましたが、どのような生活スタイルを送りたいか。で求める土地は変わってきます。

私たちは妻の実家の近く。が一番理由だったので必然的にエリアは決まってしまいましたが・・・笑

 

狭小地探し

とはいえ、喜多見エリアでも150万円もするのは正直高いと思いませんか?

出来ることなら坪単価100万円を切って欲しい・・・

 

必要な面積とは

一軒家の平均的な土地は30坪で、庭付き一戸建てが理想像として考えられることが多いです。建ぺい率・容積率によっても変わりますが延べ床は約30坪です(4人家族、一人8坪で計算)

30坪で計算すると喜多見エリアの150万円だと4,500万円が必要になります。

住宅を建てる予算より土地の方が高くなり資金計画を立てるのが難しい人が多くなるのではないでしょうか。

狭小地の15坪であれば単純計算で2,250万円となり、グッと手が届きやすくなりますので、狭小地探しからスタートしました。

なお、土地の性質上、広い土地の坪単価は安くなり、狭い土地の坪単価は高くなりますので一概に坪単価で計算をすることは出来ないのは理解しておいてください。

 

建ぺい率と容積率

狭小地で販売されているところは意外と建ぺい率と容積率が緩いところが多いので建物は比較的建てやすいです。

2019年6月から準防火地域には建ぺい率が+10%緩和されるようになったため、より建築の幅が広がりました。

なお、建ぺい率と容積率の違いは以下のとおりです。

土地が60㎡の場合

建ぺい率70%・・・60㎡×70%=42㎡が建築できる面積です。

容積率150%・・・・60㎡×150%=90㎡の延床です(Ex.1階42㎡+2階30㎡+3階18㎡)

地区計画によって建ぺい率と容積率は変わってきますので、希望エリアの状況を見ながら探しましょう。

 

土地の形状

私たちが苦戦したのは土地の形状です。

一番人気があるのは整形地である正方形の土地で、非常に建てやすく建築費用も抑えられます。更に角地であれば+αされます。

逆に不整形地は台形・長方形・三角形・旗竿地(敷地延長)が挙げられます。

土地の形状 坪単価の違い

(参考URL:住まいのコラム│すまいろ

建物は正方形が一番効率よく建てられるので人気が高いため、それ以外は安く売られることが多くなります。

また、間口も非常に重要で設計の基準に910mm幅があります。

910mm(半間)・1820mm(1間)・2,730mm(1間半)・3,640mm(2間)と標準モジュールが存在しますので中途半端な間口であればその分狭くしなければならなかったり、不都合が生じる可能性が高くなります。

 

間口の課題

比較的に安い土地で見つかりやすいのが間口が狭く、鰻の寝床のような長方形の土地になります。土地を相続で分筆したり、長細くなりやすく市場へ出回ります。

ただし、各自治体で最低敷地面積は違いますが、概ね60㎡もしくは70㎡以下に分筆することは出来なくなりました。

そのため、極端に細長い土地は今後市場へ出回ることは少なくなるかと思いますが、前々から60㎡未満の土地であれば特例で建築が可能です。

さて、この細長い土地は比較的安く購入することが出来ますが、住まいの空間として機能するかは別問題です。

間口4mの場合

間口4mをそのまま建築面積として計画することは出来ません。

隣地境界線というものがありますので、左右に住宅が建っている場合は最低50cmの間隔をあけなければなりません。

鉄筋コンクリートの場合は50cmを空けなくても良いのですが、鉄筋コンクリートの場合は足場を作る必要があるため敷地ギリギリに建てることは事実上不可能です。

建築後のメンテナンスも必要なため、原則50cmを空ける必要があります。

そのため、間口4mであれば、左50cm+右50cm=1mを空けるため幅3mが残る計算です。

では、その3mをそのまま使えるか?と言うと、そういう訳ではなく、住宅には壁がありますので、厚さ15cmは見ておく必要があるため両側で30cmです。

そうなると3m-30cm=2,700mmとなり、1間半を微妙にクリアできなくなります。

 

民法承諾

それを解決するためには隣地の方から協力を得る必要があります。

民法上は50cmを空けなければならないけど、40cmにしても良いですか?と土地を購入する前に事前に承諾を得ます。

地域特有の慣例があれば承諾を取らなくても良いこととなっていますが、トラブルを避けるためには事前に承諾を得た方が無難です。その際は書面も取るべきですが、基本的には不動産会社が取得に動いてくれます。

もしも10cmぐらいなら良いですよ。と返答があった場合は2,800mmを確保できるので無事1間半をクリアできます。

※なお、エアコンの室外機の置き場・外壁の塗り替え等のメンテナンスもあるので30cmは空けておくのがベターです。

 

1間半は快適か?

1間半あれば、4畳半のモジュールをクリアできます。

畳1枚は1,820mm×910mmなので、2,730mm×2,730mmが4畳半のサイズになります。

4畳半の大きさ

壁にソファをつけて、対面にテレビを置いても違和感がなく見ることが出来る基本的なスペースになります。

ただ、これが30cm近くなった2,430mmですと一気に窮屈感が増します。

もしも購入しようとしている土地が4m未満である場合、部屋の幅がどのくらいになるのか、その幅にソファとテレビを置いて疑似体験してみることをオススメします。

人の感覚なので難しいですが、許容できるのであれば間口が狭くても検討の余地アリです。民法承諾が得られれば尚更良しですね。

私はこれに難色を示して数件の土地を見送った経緯があります。

 

土地探しは大変です

私が購入したのは間口が狭く、鰻の寝床のような土地で半年以上探しました。

土地に大きな予算を避けられませんでしたので、選択肢が狭いのとエリアを限定して探していたため結構な時間がかかりました。

そして隣地境界線50cmでは厳しかったのでは民法承諾を書面の取り交わし得て広く建てられるよう事前に交渉成立後に売買契約を締結しました。

民法承諾が得ることを前提とした土地の場合、買い手が一気に少なくなるので坪単価が安くなるんですよね。

売るときにどうなるか?といった問題はありますが、民法承諾の書面には次の所有者にも同じ内容を継続する旨も添えてありますので、お隣さんと協力しながら土地の有効活用をしていくことになります。

ただ、永住地として考えていますので売却するつもりはありませんが。