基本設計の図面を見ていた時に、外壁は通気工法で施工されると記載されていました。
外壁通気工法って何だろう?と思い調べていくと色々と分かってきました。
外壁通気工法
一昔前の住宅には採用されることがあまりなく、2000年代から徐々に出てきた工法です。
最近の住宅は高気密・高断熱が基本となっていますが、壁内結露が起こることを想定しておらず、断熱材が濡れて効果を発揮しなくなったり、カビが発生してしまったり、不具合が出てきました。
その解決策として、外壁通気工法を採用する住宅が増えてきたようです。
通気層
冒頭の写真を見ていただければ、大まかな仕組みは分かるかと思います。
壁材と躯体構造に空間を設けて、空気を常に対流できる通気層を作ります。
雨天時に壁材で防げなかった雨水がこの通気層を通る仕組みのため、躯体構造にダメージを与えません。
木造住宅は水・湿気が天敵ですので、乾燥しやすい環境を作れる外壁通気工法は、住まいの耐久性を飛躍的に上げる効果が期待できます。
壁内結露の防止
壁材との間に空気層があることから、家の中の湿気を外へ外へと追い出す効果が期待できます。
高気密・高断熱が流行りだした当初は、直貼工法で壁材がピッタリくっついており、湿気の逃げ道がなくなり、室内結露が生じてしまうケースが多かったようです。
それでも何かしらの壁内結露の防止策は講じていたのだと思われますが、断熱材が水を含んで使い物にならなくなった。なんて状況に陥ったら目も当てられないですよね。
遮熱効果
空気層があることによって、太陽熱が逃げやすくなります。
空気は暖かい方へ向かう性質がありますので、外壁通気工法であれば、下から上へ空気の上昇気流が常に発生することになります。
夏季には暑さを和らげ、冷房効果の向上に寄与するというメリットがあります。
デメリット
多くのメリットがありますが、その裏にはデメリットも存在します。
何よりの欠点は強度で、壁材と躯体構造が合わさっていないので、自然災害の際に外壁が落下してしまうケースがあります。
なので施工をしっかり行える業者でないと、万が一の時に痛い目を見る可能性がある工法でもあります。その点、設計事務所にお願いしていれば監理業務として、これらの施工が正しく行えているか?をチェックしてくれるので安心していられるのは大きいですね。
標準仕様
ハウスメーカーの中には外壁通気工法が標準仕様となっていることが多いでしょうが、ローコスト住宅だと要確認だと思います。
また、独自の工法で通気層を用いなくても問題ないように研究開発されているケースもあります。
ですが、外壁の工法を詳しく説明して貰えるケースは少ないと思いますので、基本設計のタイミングで伺えるタイミングがあれば、聞いてみると理解が深まって、より注文住宅の面白さを感じられると思います。