注文住宅を設計事務所で検討している場合、住宅ローンは非常に悩ましいです。
ただでさえ、仕組みが複雑な住宅ローンが更に複雑化しますので、融資条件が整わず建築家のお家を断念しなければならないケースもあり得ます。
大手ハウスメーカーであれば提携ローンがありますので融資条件が緩和・手続きが簡便とメリットが多いため、そちらに流れてしまうのもやむを得ないと思います。
なお、設計事務所用の住宅ローンの選び方。で注意点をまとめておりますので、ご参照ください。
住宅ローン
設計事務所で建てる際のハードルの高さは資金計画の難しさです。
お家を建てる場合は何回もの資金決済が必要になりますので、融資回数・自己資金の確保など多くのハードルを越えなければなりません。
故に建築家である設計事務所でのお家を諦める。そもそも検討しないという方も相当数いらっしゃるかと思います。
よく言われる一生に一度のお家ですので、建築家・設計事務所の住宅を共に作り上げていく楽しさを少しでも多くの方に・・・。ということから難所である住宅ローンの仮審査・本審査の流れを私の体験をもとにお伝えできればと思います。
なお、金融機関により対応は様々かと思いますので、あくまで私が経験したことがベースになりますのでご了承ください。
仮審査
住宅ローンを申し込む際に、最初に必要となるのが仮審査です。
この人に融資をしても良いのか?と銀行が判断するのが主になります。
金融機関によっては「人」に対する情報を重視する場合、「物件」に対する情報を重視する場合の2パターンが存在します。
人とは、勤務先の情報・自己資金の額などを指します。
物件とは、土地の立地条件や建物の質を判断します。質は単純にブランド力と考えてもらって構わないと思います。
積水ハウス・住友林業・へーベルハウス等はトップランカーなので安心ですね。
設計事務所の場合は、工務店の見積書が必要となりますが仮審査の段階では金額が決まるはずがありません。
銀行もそれは十二分に承知していますので、概算の見積書を提出することになります。
建築家も長年の経験則から施主の希望する建物だといくらぐらいになるか?は予測できますので大きくズレ込むことは考えにくいです。もちろん、後から施主が追加要望を多く出せば金額は跳ね上がりますが。
ただ、建築家もこの道のプロですから、施主の予算に合わせて設備のグレードを下げたり、規模を縮小したりと予算に合わせるコストコントロールを行います。
なお、銀行に主に出す資料は以下の3点です。
No | 提出資料 |
---|---|
1 | 土地の物件資料 |
2 | 工務店の概算見積書 |
3 | 設計事務所の見積書 |
これで注文住宅に係る総額が大まかに固まります。
その他に諸費用として、仲介手数料や登記費用などがかかりますので自己資金で賄う必要があります。
そして、住宅ローンの所定用紙に記入して提出すれば約2週間ほどで審査結果が定まります。金利は打ち合わせの時の概算で提示されますが、正式決定でズレは生じませんでした。
本審査
土地の交渉が済み、売買契約を締結すると本審査の段階に移ります。
土地の売買契約書の特約事項として、本審査に通過しなければ白紙撤回とする。というのが付与されているのが大多数だと思います。
この場合は売買契約がなくなりますので手付金等も返還されます。
私は石橋を叩いて渡ろうと思い、本審査に通過だけでなく希望金利で通過することも条件として付けてもらいました。
例えば、仮審査で住宅ローン金利0.5%と提示されていても、本審査で0.7%に上昇してしまった場合は資金計画が大幅に変更することになります。
なので、仮審査の金利で通ること。の条件付与で土地売買の契約を締結しました。
本審査の係る書類はより詳しいものが求められます。
No | 提出資料 |
---|---|
1 | 土地売買契約書 |
2 | 仲介業者の資料 |
3 | 工務店の契約書 |
4 | 設計事務所との契約書 |
大まかに必要な書類は上記の4種類ですが、現実的に無理なのが3番:工務店の契約書です。
ハウスメーカーの場合は建築請負契約の締結スピードが恐ろしく早いため容易に書類が整うですが、設計事務所は見積競争を経るため本審査の時に書類が整いません。
ではどうするか?といった答えは簡単で、ないことを伝えるだけです。
建築請負契約書がないので正確な金額も分かりません。見積もりで上振れすることもあるでしょうが、概算見積で本審査を通します。
もしも概算見積より金額が上振れしてしまったら、自己資金で補填すれば良いだけです。
逆に下振れした場合は、融資金額の減少で処理を行います。
ただ、抵当権の登記は本審査の融資金額で設定されるため、多少持ち出しが出てきます。
抵当権には登録免許税の0.4%の税率がかかるため、5,000万円の融資から4,500万円に下がったとしても、差額の500万円分の税金である2万円は戻ってきません。
この分は仕方ない経費だと判断する必要があります。
ただ、概算見積より上振れすることは大いにあるにせよ、減額するというのはないと思いますけどね。
金銭消費貸借契約
本審査も無事に通過した場合は、金銭消費貸借契約(金消契約)に移行します。
その時の流れは別の記事にまとめてあります。
該当記事→住宅ローン 金消契約と土地の引き渡し
金消契約は土地取引の約1週間前に締結しますが、私たちの場合は、この時点でも工務店決まっておらず、概算見積書でした 笑
銀行の審査は厳しい面があるにせよ、建築家である設計事務所を検討している消費者にも門戸は開かれています。
対応していない金融機関もありますが、相談してみると優しく教えてくれるので億劫にならずに行動してみることをオススメします。
銀行のセキュリティ
銀行はお堅い職業というのは誰もが感じる共通認識だと思います。
1円でもズレたら原因追及するのが日常茶飯事です。
強固なセキュリティな故、利用者として不便だな。と感じたことが1点あります。
名刺
住宅ローンのために銀行を巡っていると名刺を頂くケースも出てくるかと思います。
氏名・電話番号が乗っていることは確実なのですが、メールアドレスの記載は金融機関により様々です。
個人情報流失の恐れがあるためかメールを受付せず電話対応のみ。としているケースも多いようです。
メールは一方通行
名刺にメールアドレスが記載されている場合でも、メールを送っても返信されることはなく、折り返しの電話がかかってきます。
メールでやりとりは無理なのでしょうか?と聞いてみると
当行ではメールを送信できる端末が一台しかなく、それを使用するのも厳重な体制になっていますので使うケースはほぼありません。
個人情報流出を防ぐためなので電話で対応することとなっています。
という回答でした。
私は仕事でメールを多用しますが、メールが使えない組織は大変でしょうね・・・。
でも利用者からすると、好きな時に見て、好きな時に返信できるメールは利便性が高いので活用したいですよね。
その時は仲介業者の方に頼みましょう 笑
不動産業者でメール対応不可なケースはありませんので、銀行との調整は全て仲介業者を通してのんびり待っていました 笑
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